通貨ペアごとに特徴がある
通貨ペア同士の相関関係を知ることで取引に活用できる
ツールを使えばかんたんに相関関係を知れる
FX取引について本を読んだりネットで検索したりすると、よく相関関係のことが書かれています。しかし通貨ペアの相関関係のことしっかりと理解しているでしょうか。
実は通貨ペアの相関関係を利用することで値動きの方向を予測したり、サヤ取りという取引方法を実践したり出来ます。さらに今は便利なツールもあり、かんたんに通貨ペアごとの相関関係を知ることが出来ます。
本記事ではFXの相関関係についてご説明するので、この記事を読んで値動きの予測やサヤ取りが出来るようになりましょう。
まずFXでの通貨ペアの相関関係に関する基礎知識をお伝えします。
FXで取引できる通貨ペアの種類は、国内のFXの会社では約20ペアです。海外のFX会社ではさらに多くの通貨ペアを取り扱うところもあります。
以下はSBI証券で取り扱っている全28通貨ペアの一覧です。
米ドル/円
ユーロ/円
ポンド/円
豪ドル/円
NZドル/円
南アフリカランド/円
トルコリラ/円
カナダドル/円
スイスフラン/円
メキシコペソ/円
人民元/円
ブラジルレアル/円
ロシアルーブル/円
シンガポールドル/円
香港ドル/円
ノルウェークローネ/円
スウェーデンクローナ/円
韓国ウォン/円
ポーランドズロチ/円
ユーロ/米ドル
ポンド/米ドル
豪ドル/米ドル
NZドル/米ドル
ユーロ/豪ドル
ポンド/豪ドル
ユーロ/ポンド
米ドル/カナダドル
米ドル/スイスフラン
SBI証券ではメジャーな通貨ペアの他にも、韓国ウォン/円やロシアルーブル/円など他ではあまり取り扱わないような通貨ペアも取引が可能です。
通貨ペアには様々な種類があります。主要な通貨ペアの特徴だけでもしっかりと抑えておきましょう。
まずは日本国内でもっとも目にする機会が多い「ドル/円」です。報道番組等で取り上げられる回数がもっとも多い通貨ペアです。
国際決済銀行 (BIS)のデータを参考にして作成
実は世界で2番目に取引量が多い通貨ペアです。
ドル/円の特徴として、 ユーロやポンドなど欧州の通貨と比べると、値動きが比較的緩やかであるといえます。
また安全通貨としても知られており、 世界情勢が不安定になると円高に、逆に 世界情勢が安定してリスク選好ムードになると、円安に動きます。
日本経済はもちろん、アメリカ経済の影響を大きく受けるのもドル/円の特徴といえます。 アメリカ経済が好景気であれば円安ドル高、反対に 経済状況が良くなくて政策金利を下げれば、円高ドル安に動くでしょう。
次に「ユーロドル」についてです。
国際決済銀行 (BIS)のデータを参考にして作成
ユーロ/ドルは世界でもっとも取引量が多い通貨ペアです。ドル/円に比べると比較的値動きが大きいのが特徴で、欧米の取引所が開かれる時間帯になると、値動きが活発になります。
また 他の通貨ペアと比べ、一度トレンドとして動き出すと、その方向に動きやすいという特徴もあります。
ユーロ/ドルは欧州やアメリカの経済状況や金利政策などの影響を大きく受けます。特に欧州では一部の金融基盤の弱い国が報道などでクローズアップされると、ユーロ圏全体に影響が広がり、ユーロ安に動くことがあります。
次は「ポンド/ドル」です。
国際決済銀行 (BIS)のデータを参考にして作成
世界第三位の取引量を誇る通貨ペアです。 他の通貨ペアと比べると、比較的値動きが激しいという特徴があります。過去には数時間の間に140pipsも暴落し、またすぐに戻ったこともあります。
リスク管理を徹底して取引を行わないと、すぐにロスカットになってしまう可能性もあります。大きな損失を出さないよう、しっかりと戦略を練ってから取引を行いましょう。
次は「ユーロ/円」です。ユーロ/円はFXトレーダーにも人気の通貨ペアで、ドル/円に比べて やや激しい値動きが特徴です。
なおユーロ/円は実際には存在しない架空のレートであり、実際にはドル/円とユーロ/ドルをかけ合わせたものになります。つまりドル/円とユーロ/ドルの両方の影響を受けます。
仮に ドル/円が上昇していてもユーロ/ドルが下落していれば、ユーロ/円は上昇しませんし、逆もまた同じです。ユーロ/円が上昇するためにはドル/円とユーロ/ドルの両方が上昇していなければならないのです。
このように ユーロ/円の動きを見るためには、ドル/円とユーロ/ドルの動きに注目していく必要があります。
次に「ポンド/円」です。ポンド/円はユーロ/円よりも、 さらに値動きが激しい通貨ペアになります。
徹底したリスク管理を行った上で取引を行わないと、 すぐにロスカットになってしまう可能性もあります。しっかりと戦略を練って、大きな損失が出ないように注意しましょう。
またユーロ/円と同様にポンド/円というレートは存在せず、ポンド/ドルとドル/円のかけ合わせによって決められています。つまりこの両者の動きに影響を受けます。
取引するときはポンド/ドルとドル/円の、両方の動きに注目するようにしましょう。
次は「豪ドル/米ドル」についてです。
国際決済銀行 (BIS)のデータを参考にして作成
豪ドル/米ドルはポンド/ドルについで、 世界第四位の取引量を誇る通貨ペアとなっています。豪ドルは 高金利通貨として有名で、高いスワップポイントが魅力の通貨でしたが、 近年は政策金利の引き下げにともなってその魅力も薄れつつあるのが現状です。
オーストラリアは資源大国として有名であり、通貨の価値は国内の経済はもちろんコモディティなどの価格にも影響を受けます。
また最大の貿易相手国が石油を大量に消費する中国であり、中国国内の経済状況にも通貨価値が左右されます。つまり 中国の景気が良ければ豪ドルが上昇し、反対に中国の景気が悪くなれば豪ドルも下落となります。
このように豪ドル/米ドルの取引を行う場合、コモディティの価格や中国の経済状況にも注目しなければなりません。
次は「NZドル/米ドル」についてです。NZドルは豪ドルと同じで 高金利通貨として有名でした。しかし政策金利の引き下げでその魅力も現在では薄れています。
また地理条件もオーストラリアとよく似ており、豪ドルの影響を大きく受けます。NZドルと豪ドルではよく似た動きをしますが、NZドルの取引量は豪ドルと違って多くありません。
さらに ニュージーランド国内の経済に加えてオーストラリア、中国の経済まで考慮する必要があることを考えると、積極的に取引したい通貨ペアにはならないでしょう。
次にFXの相関関係と相関係数についてお伝えします。
「 相関」とはよく似た値動きをする通貨ペアの関係をいい、「 逆相関」とは逆の値動きをする通貨ペアの関係をいいます。
「相関」や「逆相関」が見られる通貨ペアでは、両建てでリスクヘッジを行いながら小さな利益を重ねる「サヤ取り」という取引方法がよく行われます。
またこういった取引を行わなくても「相関」が見られる通貨ペアを利用して、 今後の値動きや方向性の予測を立てることが可能です。
「相関係数」とは通貨ペアにおいてどの程度の「相関」が見られるかを-1~1の数値で表したものです。 1に近いほど「相関」の関係があり、-1に近いほど「逆相関」の関係があるといえます。
また0に近いほどその通貨ペアには「相関」の関係があります。
例えばZAR/JPYとMXN/JPYは過去200日の値動きをもとに相関係数を出すと「 0,97」となっており、強い相関の関係にあることが分かります。
両者の値動きを重ねたのが次のグラフです。
2つのグラフがおよそ重なるのが分かるでしょう。
では次にGBP/JPYとCHF/JPYを、過去200日の値動きをもとに相関係数を出すと「 -0.02」となっており、0に近い数字なため相関の関係ではないことが分かります。
(参考:セントラル短資FX)
両者の値動きを重ねたグラフが以下のものになります。
2つの値動きに共通するところは見られず、まったく「相関」の関係ではないことが分かります。このように「相関係数」を見ることで、通貨ペアの関係性を把握できます。
相関関係を認識するために重要となる通貨ペアは以下の5種類です。
ドル/円
ユーロ/ドル
ポンド/ドル
ユーロ/円
ポンド/円
この5種類の動きを把握することで、相関関係を認識しやすくなります。
例えばドル買いの動きが強まっているとき、 米ドル/円は上昇、ユーロ/ドル、ポンド/ドルは下落、ユーロ/円とポンド/円は合成通貨のため横ばいになる可能性が高いです。
また円買いの動きが強まると、ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円は下落、円が絡んでいないユーロ/ドルとポンド/ドルは横ばいになる可能性が高いしょう。
このように通貨ペア同士に相関関係はあり、重要となる5ペアを見るだけでも、マーケットの流れは見えてきます。
では日本円クロスの相関関係を見てみましょう。
参考:セントラル短資FX
上の表は2020年7月22日現在、過去200日間の値動きにおける相関係数を表したものです。
例えばAUD/JPYとNZD/JPYを見てみると相関係数が「 0.93」となっており、強い相関関係があるといえます。
ニュージーランドドルはオーストラリアドルから影響を強く受けて似た値動きとなりやすいため、こうした関係が作られるわけです。 ただしこの相関係数は一定ではなく、日々変動します。
現時点では強い相関関係にあったとしても、 時期が違ったり経済状況が変化したりすれば関係が変わってくる可能性もあるため、注意が必要です。
次に円を通貨ペアに入れない、米ドルストレートの相関関係について確認しましょう。
参考:セントラル短資FX
上の表は日本円クロスの表と同様に、2020年7月22日現在、過去200日間の値動きにおける相関係数を表したものです。
やはりAUD/USDとNZD/USDの相関係数が「 0.92」となっており、強い相関関係が確認できます。
またUSD/CANとUSD/ZARの相関係数も「 0.91」となっており、相関関係があります。
これは カナダも南アフリカも値動きが原油価格に強く影響されるという、共通の特徴があるからと考えられるでしょう。しかしこの相関関係が必ずしも続くとは限りません。
相関関係を利用して取引をする際は、必ず最新の相関係数を確認するようにしましょう。
次にFXの相関係数分析に役立つツールをご紹介します。
1つ目のツールはゴールデンウェイ・ジャパンのFXTFから提供されている「FXTF – Symbol Soukan」です。
このツールは通貨ペアの値動きにおける相関関係を視覚的に表示するツールになります。 緑 → 青 → 橙 → 赤 の順で相関関係の強さに合わせて色が付けられるため、ぱっと見て相関関係の強さを把握できます。
なお「相関」の関係であればプラスに、「逆相関」の関係であればマイナスの数字で表示されます。ただしこのツール 単独で利用できず、MT4というチャート分析ツールの中で使うものになります。
手軽に試してみたいという人にとっては、少しハードルの高いツールかもしれません。
2つ目のツールはOANDAから提供されている「Currensee」というツールです。このツールの大きな特徴は、様々な商品の相関関係を確認できることです。
Majors → メジャーな通貨ペア
Exotics → エキゾチックな通貨ペア (マイナーな通貨ペア)
Metals → 金・銀・プラチナ
CFDs → コモディティや各国の株価指数
さらに見方も バブル表示、数値表示、ヒートマップ表示の3種類から選べます。ぱっと見て全体を把握したい時はバブル表示やヒートマップ表示で、しっかりと分析したいときには細かく確認できる数値表示で、といった使い分けも可能です。
またブラウザ上でかんたんに利用できるため、利便性も非常に高いです。 別のツールを立ち上げたりインストールしたりする必要がないので、気軽に使いたい人にはちょうどいいでしょう。
3つ目は海外のMataf.netが提供する「Forex Correlation」というツールです。海外のサイトというだけあり、 日本ではあまり馴染みのない「GBP/CHF」や「CADCHF」といった通貨ペアまで、多くの通貨ペアが表示されています。
また相関関係の強さによって色分けもされており、 視覚的にも捉えやすい作りです。若干サイトの表示に時間のかかる印象ですが、一度に多くの通貨ペアを確認したいという人にはぴったりのツールといえます。
こちらは上のツールと同じMataf.netが提供している「Forex Volatility」というツールです。 このツールでは通貨ペアの値動きの大きさを表す、ボラティリティを知れます。
期間の指定は英語の入力が必要なため多少の慣れは必要ですが、かんたんでとっても使いやすいツールです。
こちらもMataf.netが提供している「Value At Risk」というツールです。このツールを利用すると、 どれくらいの確率で何pips動くかという情報を見られます。
上の画像を例にすると、EUR/USDについて100日間のデータをもとに計算すると、10時間以内に30pips上昇する可能性は50%、30pips下落する可能性は38%と見られます。
あくまでも確率の計算なので、過信しないように注意したいところです。
こちらもMataf.netが提供している「Currency index」というツールです。このツールではある時点を基準として値動きを追跡することで、 どの方向にどの程度の価格変動があったかを掴めます。
Currency indexの大きな特徴は、通貨単体での価格変動を知れる点です。
通常USD/JPYが上昇した場合、次のパターンのどれかだと考えられます。
USDの価格が上昇した
JPYの価格が下落した
USDの価格が上昇して、JPYの価格が下落した
つまり通貨ペアは2つの通貨の価値変動によってレートが決まるため、 一方の価格変動のみをつかむことは難しいのです。
しかしこのCurrency indexでは独立した通貨ごとの価値変動を知れるため、通貨変動の分析をする際にはちょうどいいツールといえるでしょう。
FXの注目すべき逆相関関係の通貨ペアがあります。それは「ユーロ/米ドル」と「米ドル/スイスフラン」です。
特に一方にユーロが絡み、もう一方にスイスフランが絡むと逆相関の関係が強くなる傾向があります。
EUR/〇〇 ⇔ 〇〇/CHF [逆相関になりやすい]
逆相関の関係も頭に入れておき、いつでも取引に使えるようにしておきましょう。
本記事ではFXの相関に関する解説をしてきました。
通貨ペアの値動きの特徴や相関について知っていることで新しい取引手法を使えたり、また通貨ペアの価格変動を予測できたりします。
インターネット上では無料で使える相関を知るためのツールもたくさんあるので、積極的に活用するようにしましょう。
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