確定申告とは何か理解できる
確定申告が必要かどうか判断できる
確定申告書の作成方法がわかる
本記事ではFXの確定申告について紹介しています。そもそも確定申告とは何かという疑問から、確定申告が必要な場合、また確定申告書の書き方も詳しく解説しています。
確定申告は難しい、面倒というイメージがあるかもしれませんが、やり方を知っていればそこまで難しいものではなく、確定申告をすると、税金の払い過ぎを防げるというメリットがあります。
知っていると得をする情報も多いので、ぜひ目を通してみましょう。また確定申告が必要な場合は、本記事を参考に確定申告を行ってみましょう。
確定申告とは、1年間 (1月1日~12月31日まで) の所得にかかる税金を計算したのち、税務署に提出する手続きをいいます。
確定申告は 毎年2月16日~3月15日が期間です。この期間内に間に合わないと、無申告加算税や延滞税が課せられる場合もあります。余分なお金を支払わないためにも期間内に確定申告を行うようにしましょう。
FXで得た利益は、先物取引に係る雑所得等に区分されます。課税率は 所得税15%+地方税5%の一律20%となり、これは申告分離課税に当たり、他の所得とは別に計算し納税する必要があります。
しかし2013年1月1日から2037年12月31日までの間は 「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」のため、 所得税額に2.1%の復興特別所得税が追加されるようになりました。
つまり2037年12月31日までは税率が20.315%となります。
FXで税金の対象となるのは、 為替差益とスワップポイントでの利益です。
未決済でポジションを保有しているときの含み損益は、課税対象とならない場合が多いですが、取引会社によって異なるのでチェックしてみましょう。取引会社のホームページなどで確認ができます。
またFXの取引により損失が発生した場合、最大3年間繰越が可能です。しかし繰越を受けるためには、損失が発生した年も確定申告を行う必要があります。
少し面倒に感じるかもしれませんが、のちに得になるので、損失が発生した場合も確定申告を行うようにしましょう。
「特定口座」という言葉を聞いたことがあると思います。株などの取引経験がある方は、特定口座について知っているかもしれません。
特定口座とは、取引会社が私達に変わって損益の計算を行い、年間報告書を作成する仕組みとなっています。また特定口座には「確定申告あり」と「確定申告なし」の2種類があり、確定申告ありを選ぶと、会社側で自動的に納税を行ってくれます。
自身で確定申告を行う必要がなく、大変便利です。税金の知識があまりない方、面倒なことはしたくないという方に特定口座はよく利用されています。
しかし残念ながらFXに特定口座はないので、自身で確定申告を行う必要があります。税率は先ほど紹介した通りです。
職業や利益によっては課税対象とならない場合もあり、計算自体はそこまで難しくないので、本記事を参考にしながら確定申告を行いましょう。
FXの利益から必要経費を引いたものが所得となります。そのため必要経費をきちんと申告すれば節税になり、場合によっては税金を支払わなくて良いケースもあります。
FXにおいて、どのようなものが経費の対象となるのか見ていきましょう。
通信費 (インターネットプロバイダー料金など)
セミナー受講料 (FXに関するセミナーの受講料)
パソコン代 (FXの取引のために購入したパソコン代金)
交通費 (セミナーに行く際にかかった交通費)
手数料 (銀行振込等に必要な手数料)
書籍、新聞代 (FXに関する書籍や情報収集のための新聞代金)
経費になるのか迷ったときは、「FXで利益を出すために必要な物」に当てはまるかどうかで判断しましょう。
FXの確定申告を行う際は、通常の確定申告に必要な書類に加え、別途必要な書類があるので、説明します。
●源泉徴収票
サラリーマンなど給与所得のある方は必須です。
●確定申告B
分離課税の場合はBを選択しましょう。
●所得税申告書第三表
分離課税の場合、この第三表へ記入が必要です。
●物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
先物取引に係る事業所得、譲渡所得、雑所得の申告時に必要です。
●所得税及び復興特別所得税の申告書付表
損失があり、繰越控除を希望する際に使用します。
●年間損益報告書
FXによる取引履歴が記載されたものです。
基本的な書類は以上となりますが、税務署によっては他の書類を請求される場合があるので、所轄の税務署に確認すると安心です。
給与所得があり、確定申告が必要となるケースを紹介します。
2つのケースがあり、 1つは年間の給与の収入額が2,000万円以上の場合です。FXでの利益に関わらず法律で確定申告をしなくてはならないと定められています。
もう1つは、 年間の給与所得が2,000万円以下で、FXの利益が20万円を超える場合です。この場合はもし会社で年末調整を行っていても、自身で確定申告を行う必要があるので注意しましょう。
給与所得のない自営業、フリーランス、主婦、学生等の場合、FXの所得が38万円を超えると確定申告が必要となります。また38万円という金額は、配偶者控除を受けられるかの判断基準にもなります。
公的年金における収入が400万円以下、なおかつ公的年金等に係わる雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合、確定申告の必要はありません。これを確定申告不要制度といいます。
公的年金が400万円以上あり、FXでの所得が20万円以上の場合は確定申告が必要となるので注意しましょう。
基本的に確定申告は、利益がある場合に行うものと考えがちですが、利益がなくても確定申告をする場合があります。それは繰越控除の場合です。
繰越控除を受けると、今年度の損失が翌年以降3年間、利益と相殺できます。
利益が出た年の納税額を減らせるので、節税につながります。
この控除を受けるには、損失がある年も確定申告する必要があり、翌年以降も継続して確定申告をしなければなりません。数年後に得をするためにも、繰越控除はしておいた方が良いでしょう。
損益通算について説明します。 損益通算とは、複数の会社でFXの取引をしていた場合、各社の損益を合算することを意味します。
例をあげると、G社で50万円の利益があり、S社で20万円の損益があった場合、損益通算をすると50-20=30、利益は30万円です。またここから経費を引いたものが所得となります。
もし損益通算をしないと50万円の利益となり、税額が多くなってしまいます。納税額を減らせる場合もあるので、 複数口座で取引をしている方は損益通算を行うようにしましょう。
FXの確定申告の手順を解説します。
まずは確定申告書の作成が必要で、 確定申告書は手書き、または国税庁のHPからネット上での作成も可能です。
画面に従い、給与やFXの収入額、かかった費用などを入力していきましょう。平成28年度分からマイナンバーの入力が必要となるので注意して下さい。
確定申告には書面提出とe-taxの2種類ありますが、本記事では書面での手順を説明します。
e-taxはネットで行えるので便利ですが、手続きが面倒だったりOS対応していなかったりする場合もあるので、 始めて確定申告する際は書面の方がやりやすいかもしれません。
所得税の確定申告作成コーナーにある「所得税コーナーへ」を選びましょう。そして画面真ん中の「左記以外の所得のある方」の作成開始を選びます。
作成を始める前に再度、提出方法を選択する場面が出てくるので「確定申告等を印刷して税務署に提出」にチェックしましょう。
所得の入力をしていきます。
総合課税の所得の欄から記載に沿って、給与所得、各種の収入、控除額を入力していきましょう。給与は源泉徴収の金額を入力します。 学生や専業主婦など給与所得のない方は、入力不要ですので次の項目に進みましょう。
分離課税の所得の欄にある「先物取引に掛かる雑所得」を選択します。
所得区分は「雑所得」、取引の内訳入力にある取引の種類の部分には「外国為替証拠金取引」などと入力しましょう。 「決済年月日」は何も記入しなくて大丈夫です。
その他数量などは、FX会社の年間損益報告書を元に1年間の合計を入力します。 決済の方法は「差金決済」と入力し、FXの利益の合計額は「差金等決済に係る利益又は損益の金額」に入力しましょう。
次に必要経費等に経費を入力します。先ほど紹介したように、 FXに必要な通信料、セミナー代金、FXに関する書籍代などを経費として申告できます。
年間損益報告書に手数料の引かれた金額が利益として載っている場合は、委託手数料の欄を入力する必要はありません。また複数のFX会社で取引をしている場合は、「もう一件入力する」を選択し同様に入力しましょう。
全ての入力が終了したら、次に進みます。
収入の入力が済んだら、次は各種控除を入力します。所得の画面で入力したもの以外の、雑損控除や医療費控除などがある場合は、画面の案内に従い入力しましょう。
次に住民税の入力をします。「住民税・事業性に関する事項」をクリックします。 この項目は、副業でFXをしている方にとって重要なポイントなので注意しましょう。
選択画面において、「給与から差引き」と「自分で納付」があるので、どちらかを選択します。 もし副業禁止の会社に勤めていて、FXをしているのを会社に知られたくない場合は、自分で納付にチェックしましょう。
自分で住民税の納付をすれば、会社にFXの利益が知られないので安心です。
次に進み、住所と氏名を入力しましょう。入力が全て完了すると、画面に納税額が表示されます。
納税額が表示されたら、「次へ」をクリックし印刷画面に進みましょう。 以下の書類を印刷したら、これで申告書の作成は終了です。印刷した書類を税務署に提出して確定申告は完了となります。
確定申告書B 第一表
確定申告書B 第二表
確定申告書 第三表 (分離課税用)
先物取引に掛かる雑所得等の金額の計算明細書
損失繰越がある場合は、所得税の確定申告書付表 (先物取引に係る繰越損失用) も必要なので注意しましょう。
給与やFXの所得に関わる税金は、所得税と住民税の2種類です。通常会社員の給与では、この2種類の税金は会社で源泉徴収されているので、確定申告を行う必要はありません。
しかしFXをしていることを会社に知られたくない場合は、住民税の納付方法を選ぶ項目において、「自分で納付する」にチェックしましょう。自分で住民税を納付するので、FXをしているのが会社に知られることはありません。
給与所得があり、なおかつFXの利益が20万円以上になった場合、税金が発生します。つまり FXの利益が20万円以下の場合は税金が発生しないので、会社には知られません。
また夫婦で口座を分け取引を分散させたり、経費をきちんと申告したりすると利益の調整が可能です。
スワップポイントが口座に入金されるタイミングは会社によって異なり、以下の3つに分かれます。
未決済でも毎日スワップポイントが受け取れ、口座に入金
ポジションを決済した時に口座に入金
決済の状況に関わらず入金
スワップポイントは、口座に反映されない限り確定申告の対象にはなりません。そのため長期でスワップ目的の運用をしていた場合、口座に反映されるタイミングによっては税金面で差が発生します。
自身の利用しているFX会社の入金タイミングを確認してみましょう。
例えば年間5万円の利益が発生するスワップ運用を5年行ったと仮定します。毎日口座スワップポイントが入金される会社だと、 年間の利益は5万円なので税金は発生しません。
しかし5年後の決済時に入金となった場合、利益は25万円となり、税金が発生します。
為替損益を含めていないので、実際は為替差益の損益によっても変わりますが、長期でスワップポイント中心の投資をするのであれば注意が必要です。
ポジションを決済したタイミングで入金される場合、どれだけスワップポイントが貯まっていても、決済しない限りは課税対象にはなりません。
このタイプのFX会社は以下になります。
FXブロードネット
SBIFX
外為オンライン
このタイプの口座はスワップポイントが分散されません。 長期間保有して決済をする際に、一気に税金が発生するので注意しましょう。
このタイプは原則的に決済時にスワップポイントが反映されますが、未決済の状態でもスワップポイントの受け取りが可能です。未決済でもスワップポイントを受け取った時点で、受け取り分は課税対象となるので注意しましょう。
このタイプに該当するのがDMMFXです。
このタイプは決済に関わらずスワップポイントが反映されるので、毎日スワップポイントが受け取れ口座残高に反映されます。
以下の会社が該当します。
YJFX!
みんなのFX
セントラル短資FX
毎日スワップポイントが受け取れるので、利益を実感しやすいのが特徴です。利益が大きくなりそうな時は、このタイプの口座を利用し、利益を分散させておくと良いかもしれません。
FXの利益は、取引しているFX会社が発行する年間損益報告書で確認できます。
複数の会社で取引をしている場合は、自身が取引している全ての会社の年間損益報告書が必要となるので、確定申告の前に確認しておきましょう。
基本的に決済していない含み損益は所得に含まれません。しかしポジションが未決済の時でも、 スワップポイントのみ損益に含まれる場合もあるので、取引をしているFX会社の年間損益報告書で確認してみましょう。
FXで損失が出た場合に確定申告をすると、翌年以降の3年間、利益と損失を相殺でき損失の繰越が可能です。この損失の繰越を行うには毎年の確定申告が必要です。
必須ではないですが、損失の繰越を行うと、利益が出せるようになった時に税金の支払いが少なく済むので、確定申告はしておいた方が良いでしょう。
損益通算とは、異なる収入の損益を合算し、税金を抑える方法をいいます。
もしAという方法で100万円の利益があり、Bという方法で10万円損失が発生した場合、合算して合計90万円の利益とみなします。
このように節税にもなり便利な損益通算ですが、残念ながらFXの利益は雑所得という区分のため、他の方法と損益通算はできません。これは株や仮想通貨も同様で、損益通算はできません。
FXは損益通算ができないと説明しましたが、「先物取引に係る雑所得等」に該当するものであれば損益通算が可能です。
これらに当てはまるのが、 取引所外国為替証拠金取引 (くりっく365) 、日経225先物取引、商品先物取引、日経225先物オプション取引などです。これらの金融商品であれば損益通算ができるので、ぜひ試してみましょう。
国内FX会社の場合申告分離課税のため、どれだけ利益を上げても税率は20.315%で固定されています。
給料の税率にも影響はありません。
しかし海外FX会社の場合は少し異なります。海外口座は国内口座より高いレバレッジで取引ができるなど、魅力はありますが金融庁の許可を受けていないやめ、申告分離課税ではありません。
海外FX会社での利益は総合累進課税が適応され、この場合利益が上がる程税率も上がる仕組みになっており、最大55%にもなります。
また給料の税金においてもこの税率が適用され、税制面でかなり不利な状況となるので注意が必要です。
スワップポイントで得た利益も課税対象となり、税金が発生します。先ほど説明しましたが、スワップポイントはFX会社によって口座に振り込まれるタイミングが異なります。
毎日口座に振り込まれる場合と、決済した際に一気に振り込まれる場合の2種類です。
スワップポイントの入金のタイミングによって、税金が発生する時期が変わる場合があります。自身が取引しているFX会社は、 どのタイミングでスワップポイントが入金されるのか事前に確認しておきましょう。
FXの確定申告について紹介しました。確定申告について理解して頂けたでしょうか。
重要な点をまとめると、確定申告は経費をきちんと申告するなどして、なるべく所得を減らすのがポイントといえます。FXの所得を減らすと、税金を支払う額が少なくなりお得なのです。
そして損失がある場合も、損失の繰越を利用するためには毎年確定申告が必要となります。数年後、利益が出せるようになった時を考えると支払う税金が少なくなるので、確定申告はしておいた方が良いでしょう。
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