推奨証拠金 = 必要証拠金 × 係数 + 期間中の最大ドローダウン
推奨証拠金でもロスカットの可能性は十分にある
証拠金不足の解消には注意が必要
トライオートFXの大きな特徴の1つが、コースを選択するだけで簡単に自動売買の設定が行えるところです。
自動売買で安全に資産運用したいと考えたとき、推奨証拠金の表示があると便利です。
しかし 本当にその推奨証拠金で安全に運用できるのでしょうか。そもそも何を根拠に推奨証拠金が決められているのでしょうか。
本記事ではトライオートFXの推奨証拠金について説明していきます。
推奨証拠金の計算の仕方や証拠金が不足したときの対応方法を知ることで、より安全に利益を重ねていけるようになります。
トライオートFXでは「証拠金」に関する用語はさまざまありますが、押さえるべきは次の4種類です。
証拠金預託額
必要証拠金
発注証拠金
有効証拠金
それぞれについて説明していきます。
「証拠金預託額」とは、利用者がトライオートFXの口座に預けている証拠金の残高のことです。
FXでは口座に預けたお金を担保のようにしてポジションを持つため、預けたお金のことを証拠金という呼び方をします。 証拠金が多ければ、より低リスクで取引を行ったり、多くの金額で取引を行ったりできます。
FXの特徴であるレバレッジを利用すれば、実際の証拠金よりも多くの金額で運用することも可能です。もちろんその分リスクは高くなります。
「必要証拠金」とは、利用者が持っているポジションを維持するのに必要な証拠金のことです。
通貨ペアごとのその日の為替レートによって、1,000通貨あたりの必要証拠金が決まっています。
「発注証拠金」とは、注文中で約定していない新規注文に必要な証拠金のことです。
トライオートFXでは両建ての場合の発注証拠金額は、MAX方式で買注文と売注文の多い方のみを採用しています。
そのため 新規注文が約定した場合の同じ通貨ペアの売建玉と買建玉の必要証拠金額を比較して、現在の必要証拠金額を超える分が発注証拠金となります。
「有効証拠金」とは、現時点で有効な証拠金のことです。
有効証拠金は、預けている証拠金に出ている利益を足した金額で、出金指示がされていないものに限ります。もちろん損失が出ている場合には、有効証拠金は少なくなります。
有効証拠金 = 証拠金預託額 ± 評価損益 - 出金指示額
トライオートFXを利用する人のほとんどが、自動売買の中から自分に最適と思われるコースを選択して運用していくと思います。
コアレンジャーとはトライオートFXの自動売買プログラムで利用されている分析ツールです。
過去2年分のシミュレーションや相場変動のリスクとリターンを含めた評価もされていて、見るだけでもとても参考になります。
実際に通貨ペアを選択すると、 注文内容や推奨証拠金などが表示され、シミュレーションだけであればWeb上で簡単に見られる便利なツールです。
推奨証拠金は運用の目安の投資金額として示されています。 安全な運用を100%保証する金額ではありません。
この推奨証拠金がどのように算出されているかよくわかっていない人もいるのではないでしょうか。
トライオートFXのサイトを参考にすると、次のような計算式が示されています。
推奨証拠金
= 必要証拠金 × 係数 + 期間中の最大ドローダウン
式だけ見てもすぐに理解しにくいと思います。
1スイスフラン = 111.27円だったとして推奨証拠金を算出してみましょう。
トライオートFX (インヴァスト証券) の公式ホームページから円換算レートに対する「必要証拠金」の一覧が確認できます。
円換算レートが111.27円の場合、1,000通貨あたりの必要証拠金は4,600円です。
ただし「1,000通貨あたりの必要証拠金」なので、実際はこの金額に「取引口数」と「注文本数」をかけたものが実際の必要証拠金になります。
必要証拠金 = 1,000通貨あたりの必要証拠金 × 取引口数 × 注文本数
「取引口数」は複数の注文がまとまったもので、画面上でセット数として設定すできます。今回は 取引口数を1としてみましょう。
「注文本数」は買い注文と売り注文が同時に設定されている場合は、多い方のみカウントしています。1,000通貨の注文を1本として数えていきます。
コアレンジャーのシミュレーションでは、下表のように買い注文と売り注文が設定されています。
注文本数は 27本 × 2 + (31本 - 27本) = 58本となります。
必要証拠金は、 4,600円 × 1 × 58本 = 26万6,800円です。
「係数」は、トライオートFXの場合は一律で「1」となっています。
最後は「2018年1月からの期間中の最大ドローダウン」です。 ドローダウンとは、過去の最高利益からの最大下落幅のことをいいます。
グラフで確認すると2018年以降の最大ドローダウンは2018年8月~9月にあり、下落幅は23万3,893円でした。
これらの情報をもとに推奨証拠金を計算すると、
推奨証拠金
= 必要証拠金 × 係数 + 期間中の最大ドローダウン
= 26万6,800円 × 1 + 23万3,893円
= 50万693円
となります。
トライオートFXの必要証拠金は、個人口座と法人口座で計算方法が異なってきます。
個人口座の場合、通貨ペアごとに営業日の終値を基準とした必要証拠金を設定し、翌営業日から適用されます。
トライオートFX (インヴァスト証券) の公式ホームページから「必要証拠金」の一覧表を確認できます。
一部例を挙げると、下表のようになっています。
取り扱っている全17通貨ペアについて同じ基準が適用されます。
法人口座の場合、通貨ペアごとに営業日の終値に対して、為替リスク想定比率を踏まえた金額を必要証拠金として、翌営業日から適用されます。
例えば、1ドル=100円で米ドル/円を1万通貨買う場合、
取引額は、100円 × 1万 = 100万円
想定為替リスクが1.5%だとすると、
100万円 × 1.5% = 1万5,000円
つまり1万5,000円が必要証拠金となります。
為替リスク想定比率とは金融先物取引業協会が公表している数値で、 毎週金曜日に公表され、翌週土曜日から適用されます。
トライオートFXで運用していく場合、買建玉と売建玉の両建てとなることがほとんどだと思います。
両建て時の証拠金の金額はMAX方式で決められ、 全ての建玉に対する証拠金額にはなりません。MAX方式では買建玉と売建玉の合計を比べて、 多かった方に対して証拠金額が算出されます。
ロスカットになると強制決済が行われ、コツコツ積み重ねてきた利益も一瞬でその多くを失ってしまうことがあります。
運用を行っていく上で、ロスカットはなるべく避けたいものです。 大切なのは基準を正確に知ってリスクを管理していくことです。
トライオートFXのロスカット基準は次のようになっています。
ロスカット基準:有効比率が100%以下になると発生
ここでいう有効比率 (%) とは、有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100で表されます。
つまり ロスカットになるのは有効証拠金よりも必要証拠金の方が多くなったときです。
自力で ロスカットを避けるには、基本的には口座にお金を追加して有効証拠金を増やすか、建玉を決済して必要証拠金を下げることが必要です。
推奨証拠金を入金しておけば、ロスカットになることはないのでしょうか。コアレンジャーの米ドル/円を例にして確認してみましょう。
2020年5月27日現在、コアレンジャーの米ドル/円を取引口数1セット選んだときの推奨証拠金は55万453円です。
コアレンジャーのシミュレーションの初期設定で米ドル/円の買い注文に限って見ると、0.2円幅で2,000通貨分の注文が27本、0.7円幅で1,000通貨分の注文が4本入っています。
仮に米ドル/円の相場が1ドル = 101円となったときに、全ての買建玉を保有していると、どれほどの損益を持つことになるのでしょうか。
下の表は注文ごとのエントリー価格と1ドル = 101円になったときの損益を表した表です。
1ドル = 101円 で全ての買注文を保有していると、含み損が-37万7,700円まで膨らむことがわかります。
このまま円高が進み、1ドル = 100円となると-43万7,700円の含み損、1ドル = 99円になると-49万7,700円の含み損です。
1ドル = 98.1円まで相場が下がり続けるとロスカットになります。
トライオートFXのロスカットについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
推奨証拠金の金額を入金しておけば、安全に利益を出せるといえるのでしょうか。
前述の通り、全ての買注文の建玉を保有した状態で1ドル=98.1円まで相場が下がるとロスカットになってしまいます。
下のグラフは過去10年間の米ドル/円の為替レートです。
2013年11月以前では98.1円を大きく下回っていますね。なんと2011年にはおよそ1ドル = 76円まで下がっています。
こう考えると長期で運用していく場合、推奨証拠金で安全に運用できるとはいえません。
ただ 実際には売注文もあるため、相場が変動する間に利益が積み重なってロスカットのラインはもっと下がると思われます。
証拠金が不足すると待っているのがロスカット。ロスカットを避けるためには早急な対応が必要になってきます。
証拠金不足とは有効証拠金が必要証拠金を下回った状態を表します。
証拠金不足になると自動売買がストップし、新しい注文は行われません。 さらに出金指示が行えなくなります。
ただこの時点ですぐにロスカットされるわけではありません。
証拠金が不足した日の翌営業日26時 (午前2時) までに解消されなかった時点でロスカットとなり、全ての建玉が強制決済されてしまいます。
証拠金不足の状態を解消するには3つの方法があります。
不足額を入金する
全ての建玉を決済する
出金指示を取り消す
1つ目は FX口座に不足額を入金する方法です。
入金額が不足額より少ない金額では証拠金不足は解消されません。必ず不足額以上の金額を入金するようにしましょう。
2つ目は 全ての建玉を決済する方法です。これはロスカットとほぼ変わりません。
保有している建玉を決済することで必要証拠金が減り、証拠金不足が解消されます。
3つ目は出してあった 出金指示を取り消すというものですが、非常にレアケースです。
証拠金不足になる前に出金指示が出されていた場合に限り、この出金指示を取り消すことで有効証拠金が増え、証拠金不足が解消されます。
ただし出金指示を取り消せるのは出金依頼受付時間となる前です。取引可能時間であれば一度出した出金指示は取り消せません。
証拠金不足を解消するために入金を行う際、注意する点が2点あります。
1つ目は通常の銀行の振込だと間に合わない可能性が出てくるという点です。
通常の銀行振込だと15時を過ぎると翌日付けの振込になる可能性があります。そうすると入金確認期限の翌営業日の26時に間に合わなくなります。
そこで便利なのが即時入金サービスです。一部の銀行に限られますが、ほぼリアルタイムで入金処理を行うことができ、手数料も無料です。
翌営業日が土曜日の場合は、月曜日の26時 (火曜日の午前2時) までの入金確認となります。
2つ目は、一部決済や一部入金では証拠金不足は解消されないという点です。
証拠金不足の一部だけが解消されたり、相場が変動して証拠金の状況が改善されたりしても、証拠金不足の解消にはなりません。
つまり証拠金不足額が10万円の場合、5万円だけ入金してもロスカットを避けることはできないわけです。
リスク管理の1つとして、余裕資金の確保もかなり重要です。急な相場変動にも対応できるよう自由に動かせる資金を準備しておきましょう。
今回はトライオートFXの推奨証拠金について説明してきました。
システムによる自動売買を行う以上、前もってリスクを知って戦略を練ることが重要です。
示された推奨証拠金を鵜呑みにはせず、本当にこの金額で大丈夫なのか自分でも考えてみましょう。
また長期で運用していく場合、リスク管理がとても重要です。資金に余裕を持って運用し、利益を積み重ねていきましょう。
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